6月議会ご報告① 市案「職員倫理条例」は・・・
全会派一致で継続審査へ

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

6月議会は波乱の展開となりました。

今議会に上程(※1)された議案のひとつが「職員倫理条例案」でした。
市側は開会日に新聞・テレビを呼び、今定例会での上程についてマスコミに発表。

https://mainichi.jp/articles/20190606/ddl/k11/010/019000c
職員倫理条例案、6月議会提案へ /埼玉(毎日新聞2019年6月6日 地方版より)

(※1)・・・議案を議会の審査対象として提出すること。可決されれば正式に執行される

この条例案は、H29年末に発覚した環境センター不正入札事件(市長議長同時逮捕)を受けた再発防止策としての位置づけで、主に「職員に対し議員等から不当要求があった場合の通報強化」や「組織としてのコンプライアンス意識向上の体制づくり」を実施する主旨でした。

また「補正予算案(※2)」も市から提出されており、この職員倫理向上の体制作りの費用ほか、商工会館耐震工事中の移転先を上下水道部庁舎とするための費用等を追加した補正案の審査が、6月定例会に上程された大きなテーマでした。

(※2)・・・当初予算編成時に予測できなかった状況に対応するため必要な予算を追加するもの

 

6月定例会開会直後 議案への質疑で登壇

 

 

汚職事件の再発防止策として、市が職員を対象とする「職員倫理条例」を検討している事はこれまでにも市側から示されており、一方で、議会側は議員を対象とする「議員倫理条例」策定に向け 各会派の意見調整を進めていた状況でした。

市側の「職員倫理条例」案がいよいよ形になったという事で、最終的な審査が今議会に付託されたわけです。
(自治体が条例を制定するには、最終的に議会での審査・可決が必要なため)

事件からの再出発に際して「職員側が襟を正す」今回の条例案ですので、 基本的には全会派が前向きに審査に臨む雰囲気があったように思います。
ところが、実際に総務委員会での審査に入ってみると・・・状況が変化しました。

 

総務常任委員会で「職員倫理条例案」の審査が始まったが・・・

 

条例案の審査が始まると、細部の詰めや 執行部からの説明に不明瞭な答弁が多く、各会派の議員から
「不当要求行為の基準を客観的に設定し明確化すべき」
「不当要求行為者が市長・教育長等といった特別職だった場合の対応は」
「コンプライアンス委員会の委員の選定基準をより明確化すべき」
と様々な意見が噴出。

また、条例や内部通報のフローに関して「規則で定める」とされている部分について質問が及んだ際には、市から「規則については、決まっているものについてはお見せすることはできる」「規則は今8、9割程度完成している」という答弁が。
議員から「8、9割では審査の対象にならない。採決に不十分」との意見が出てきました。

更に、不当要求行為等があった場合の通報制度について「職員が所属長を一度通して報告を上げるフローとなっているが、万が一報告を受けた所属長が報告しなかった場合に、告発した職員自身が状況を知りえない仕組みになっている」と指摘があり、対する市の答えは「職員本人だけでなく周りの人も状況を確認しながら体制を整えていくことが組織的対応の強化と考えている。それにより内部組織をきちんと回すことで、本人に通知しなくてもいいような組織風土を作ることが、上尾市として重要と考えている。」といった内容で、不正の再発防止にあたって このような属人的な制度で十分なのか?との疑問が出てきました。

 

現段階で市が設定しているフロー(案)

 

審査を進めていく中で複数の会派から「職員側の条例制定については前向きにとらえているが、現状では審査困難といわざるをえない」との意向があり、最終的に会派政策フォーラム所属議員から「慎重に審査する必要があるため、閉会中の継続審査とされる事を望みます」と、継続審査の動議が提出

その結果 全会派が一致して、この議案を「今議会での採決を見送り 継続審査の扱いとする」事で決定しました。

なお、職員倫理・コンプライアンス意識向上の体制づくりのための費用を含む補正予算案については 全会派一致で可決
つまり「予算そのものは承認したが、条例の細部は慎重審議が必要」という形となり、今議会での条例制定は先送りになりました。

この6月13日の総務委員会時点での感想を記しておくと、市の答弁の結果、議会として審査困難という結論に達さざるを得なかった状況は、自治体として残念な状況ですし 危機感を感じざるを得ないのが正直なところでした。
(職員が襟を正す条例案ゆえ 議会側も前向きに臨んでいたにも関わらず、です)

3月議会でも指摘したように、「市民代表である議会への説明責任」に関して、執行部側に緊張感の欠如があるように思えてなりません。
無意識か否かわかりませんが 議会を追認機関のように捉えているのではないかとさえ感じますし、こういった傾向は 自治体運営が行政の意向だけで進む事に繋がる可能性があるため、非常に危険であると思います。

とはいえ、長年にわたる緊張感の欠如を是正できていないのは、本質的には議会側の責任であると私は思っています。
9月までの閉会中に職員倫理条例について再度協議の場を設定する事とし、同時に議会側の倫理条例も具体化していかなくては。

・・・というのがこの時点での感想でした。

そこに6月20日の一般質問で新たな疑惑が発生し、この後 6月定例会は急展開を見せることになります。

(つづきます)