6月議会ご報告② & 閉会中の動き
小敷谷ブロック塀公金不正支出の事案。

こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。

市が6月定例会に上程すると同時にマスコミ発表した「職員倫理条例案」は、議会審査の結果、全会派一致で 今議会の採決を見送り継続審査を決定。

https://wp.me/paqDVf-x7
6月議会ご報告① 市案「職員倫理条例」は・・・全会派一致で継続審査へ

 

9月議会までの閉会中に総務常任委員会を開き、執行部の説明を求めながら審査を続けます。
(予算自体は可決しており、条例にかかる費用は執行が保留されている状態)

それぞれの委員会の審査結果を受け、各議員の一般質問ののち閉会に至ると思われた6月定例会ですが、6月20日 一般質問の場において上尾市の公金支出に関して 新たな疑惑が浮上
ここから急展開となりました。

 

疑惑の内容は「市の公費(補助金ではなく)で個人の土地のブロック塀とフェンス工事が行われている」として 市民より1通の手紙が届けられた事をきっかけとするもの。

https://this.kiji.is/514606580618249313?c=39546741839462401
元上尾市長の私有地工事を公費で負担 議長が働き掛け、元市長も要求 施工業者は議長の長男が社長の会社(埼玉新聞 6/21付)

 

質問した議員いわく「答弁調整していない」として実施されたこの一般質問。
手紙の記載内容として以下が紹介されました。

 

・小敷谷の日産グラウンドに面したブロック塀とフェンスを市が工事した

・工事看板によると「発注者:畠山稔市長、都市整備部道路課」「工事施工者:株式会社美創(小林議長の長男が経営)」「土地所有者:元市長の新井弘治氏」である

・個人の土地のブロックとフェンスを全額公費負担するのはおかしい

 

事実確認に対して市長は「事実である」と答弁し、問題点として

 

・「当該工事について 法的な部分をよく確認しないまま、結果的に市で全て施工してしまった」

・「美創への発注に当たり、指名競争入札及び契約検査課の完了検査を回避するため、総額693万3,600円の工事を7本の随意契約(※)に分割した」

(※)・・・競争入札によらず任意で決定した相手と契約を締結する方式。請負金額130万円を境に随意契約と指名競争入札が区分されている

 

と述べたのち「これまで公平公正という事を常に申し上げてきたにもかかわらず このような事が発生してしまった事について、市民の皆様に対して また議員の皆様方に対して大変申し訳なく 恥ずかしく、痛恨のきわみでございます」と謝罪。
続く説明によると、

 

・塀は元市長所有のグラウンドと市道の境にあり、S52ごろ市道拡幅に伴い 市が土留め付帯工事で建設

・H30年9月、小林議長から道路課へ市民相談として「民地のブロック塀が傾いている。見てくれないか」と話があり、担当課は現地確認し「民地に設置されているブロック塀なので 市では施工できない。管理も土地所有者・管理者に引き継がれている」と断った。
小林議長からは「過去、市が施工したものなので市がやるべき」と話があった。
翌日 地権者から道路課長に電話があり「市で施工したものなので、市がやりかえるべき。何であのような職員がいるのか。やめさせるように」と要求があった

・後日、小林議長が都市整備部長室に来て、都市整備部次長や道路課長同席のところで 小林議長に対して「市で施工する」旨を報告した

・9月28日に都市整備部長、都市整備部次長、道路課長が元市長の自宅を訪問し、当初の対応を謝罪して市で施工する事を了解した

・本来1件の工事として発注すべきものを7本に分割し、指名競争入札や契約検査課の検査を回避し、小林議長の長男経営の会社に随意契約で発注した

(以上は 現段階での情報として「職員からの聞き取り内容に基づく」とする市側答弁 及び その後の各社報道を要約)

 

との事でした。

市側は当該工事について、「今回の事案につきましては、現在内部調査を進めていますけれども、第三者である弁護士のご協力を仰ぎ、改めて聞き取り調査等を実施して、調査結果をまとめて次回の9月定例会をめどに公表できるように取り組んでまいりたいと思っております」

と述べており、これから更なる情報が出てくるものと思われます。

 

 

この一般質問を受け、会派内では本件について小林議員に聞き取りを行いましたが 満足のいく回答を得られず、今後この件について審査を行う際に中立性が担保できない理由から 今回の件で名前が挙がった小林議員と新井議員に会派離脱してもらう意向を伝えました。
しかし、意見は平行線のまま。
結果的に、2人を除く新たな会派を結成する運びとなりました。

 

https://this.kiji.is/516449791236031585?c=39546741839462401
元上尾市長と議長が脱退せず…自民市議らでつくる会派解散 2人除く新会派すぐに立ち上げ最大会派に(埼玉新聞 6/26付)

 

閉会日に小林議員は議長職を辞し、他会派からは議員の職も辞するよう勧告が出されました。
今後の情報次第で 勧告に相当する案件となると思いますが、現在、市側は「議員一般質問に対し 職員ヒアリングの結果として答弁を行った状況」でしかないため、保守系会派は小林議員・市側双方の説明責任を主張し、6月時点の他会派からの議員辞職勧告には反対。

 

 

 

 

現段階で思うところを述べておきます。
汚職防止策としての「職員倫理条例案」作成中に 庁内でこのような不正支出が行われていたというのはどういう組織なのか、という事。
併せて、この案件、責任の所在や行為の主語等を明確にする必要があるように思います。
センセーショナルな報道となっているからこそ、議会としては構造を再度捉え直し 要素を分解したうえでの議論が必要です。
議員側から圧迫的働きかけがあったとすれば重大な問題ですが、同時に考えるべき「実際に執行・分割の判断をしたのは」「その責任は誰にあるのか」という最も基本的な所があまり語られていない現状に不自然さを感じます。
また、現在 議会内はじめ様々な場所から「職員を守らなければ」という言葉が聞こえてきます。

 

そうでしょうか?

 

H29年の市長議長同時逮捕時からずっと危惧していた事があります。
それは「議会内の対立構造や他者批判が加熱する一方、最も基本の仕事である行政へのチェックが甘くなること」です。
本件はこの危惧が現実化しているように思えてなりません。
地方議会は「二元代表制」であり、市民が直接選挙する「市長」以下執行部と「議員」が構成する議会 それぞれが適切な緊張をもって運営されるべき仕組みのため、議会議員は他議員や会派への批判・意見を行う以上に、市民の税金を適正に使っているかどうか 行政組織をチェックする事が最重要の仕事です。

今回の疑惑の内容、現段階の情報によれば この不適切な公金支出は 市長・議長逮捕直後に行われた事になります。
西貝塚に関わる逮捕劇の後、議会内対立や畠山市長と小林議長の対立の話題が先行する中で、議会が真因の追及を「正確に」行う事が出来ず、役所内の問題点が見逃されていた事が実証されている様に思います。

だからこそ重要なことは、今回の件で行政・議会問わず膿を全て出し切らなければならないという事です。
でなければ病巣は生き続け、また同じ事が繰り返される可能性すらあります。

 

こののちの7月1日、本件について市民6名から 「公金の不正支出にあたる」とした住民監査請求が出され、監査委員が請求を受理。

 

また、7月19日、新井弘治元上尾市長側が工事費の全額にあたる約693万円を市に返還した事が明らかになりました。

https://www.sankei.com/affairs/news/190719/afr1907190045-n1.html
元上尾市長が693万円返還 埼玉、公費で所有地工事(産経新聞 7/19付)

報道によれば
「市によると、新井氏の代理人弁護士が同日「問題の早期収束のため」として市役所に現金を持参した。
市は調査委員会を立ち上げており、9月議会で結果を報告する予定。
畠山稔市長は「なぜ不適切な支出をするに至ったのか、しっかりと調査する」とのコメントを出した」(産経新聞記事より抜粋)

との事ですが、返還を求める監査請求が出されている最中 及び調査結果の公表前のこのタイミングで、何故 市は返還金を受け取ったのか?
市の説明が求められます。

7月30日 全員協議会が開かれ、市執行部 及び 小林議員を対象として詳細説明と質疑が行われます。