令和3年3月定例会が開会
「危機対応モード」の当初予算審査がスタート!
こんにちは、上尾市議 尾花あきひとです。
市議会 3月定例会が開会となり「令和3年度 上尾市一般会計予算」をはじめ 各種議案が議会に提出されました。
令和3年度3月定例会 市提出議案
毎年度、3月の定例会には「当初予算案(市が1年間に行う事業の大枠)」が提出されます。
この他、条例改正等の各種議案を 約一ヶ月かけて 議会が審査していきます。
例年の流れでは、
2月下旬「本会議での 市からの提案説明 & 議会からの議案質疑」
↓
3月上旬「各委員会での詳細審査」
↓
3月下旬「最終的な採決」
という形で審査が進みます。
本会議での議案質疑
2月25日には本会議場にて 各議案に対する 最初の質疑場面がありました。
私からは会派「上尾 同志会」を代表して、以下を質疑。
【動画】令和3年3月定例会 議案質疑 (15:05~登壇)
(※別窓で再生します)
—— 議案質疑 ——
<<「令和3年度 上尾市 一般会計予算」について>>
◆ 市税収入見込み額について 前年度比「マイナス15.7億円」とした積算根拠は?
——(答) 個人市民税は コロナ情勢を勘案し リーマンショック時に近い減少を見込んで、約10.6億円の減。
法人市民税は 法人税割税率引き下げ影響と コロナ情勢を勘案した法人税割減額を見込んで、約4.3億円減。
固定資産税・都市計画税は 土地 家屋評価替えと コロナ影響を踏まえた税制改正による減額を見込んで、約1.8億円減。
軽自動車税は 登録台数の伸びで約2千万円増。
市たばこ税は 税率引き上げにより約8千万円増。
以上を合計し、全体で 約15.7億円減としている。◆「財政調整基金取り崩し(※)」について 前年度よりも約6億円多く取り崩す計画が示されており、「繰越金」についても 例年は当初予算編成時に「5億円」で計上しているが、今回は「更に5億円増の10億円」の使用が計画されている。
これら予算調製とR3年度内の「やりくり」に関する基本的な考え方を伺いたい。
(※「財政調整基金」=自治体の貯金)
——(答) 上尾市では 当初予算編成時の財源不足額に対し、
「財政調整基金等を取り崩す」
「前年度会計からの繰越金の一部を予算に計上する」事により歳入=歳出を均衡させている。
なお この「財調」取崩しは あくまで当初予算編成時のもので、例年(秋の)決算後には「前年度会計からの繰越金(余剰金)」を財源として、基金に積み戻しを行っている。
他方、今回のR3年度予算編成では コロナ禍による市税減収が見込まれ予算上の財源不足額が拡大したため、財調取崩し額を前年度より約6億円増額すると共に、繰越金の歳入予算計上額を 例年より倍増して 対応した。◆「財調の取り崩し額」を前年度より増やすだけでなく、「基金の積み戻し財源」となる繰越金の、いわば「先食い額」を 例年より倍増させているとの事だったが、このまま進むと R3年度は「年度末の財調」が大幅減少し、ひいては R4年度の予算編成が今回以上に困難になると推測されるが、本予算案が成立した場合の 今後の財政立て直しの 基本的考え方は?
——(答) リーマン・ショック時に 市税減収が複数年間にわたった事を鑑みれば、今回のコロナ禍影響も 同程度の期間 継続が考えられる。
市としては、コロナ影響に加え 高齢化や労働人口減少による将来的影響も踏まえ、中長期的視点で更なる財政改革に取り組みたいと考えている。◆R2年度内に「コロナショックを受けて見直しをかけた事業」のうち「危機対応モードの財政運営」としているR3年度予算案で 再度計上する事とした主な事業は?
——(答) R2年度当初予算に計上した「小学校の受水槽改修工事」は、夏休み中の工事期間が確保できず減額補正したが再度計上した。
市のHP作成支援システムの更新費も機器の耐用年数を迎えるため、再計上した。
五輪関連事業や上尾シティハーフマラソンも、R3年度は現時点では開催予定のため再計上した。◆国からの「新型コロナウイルス対応 地方創生臨時交付金」を充当予定の事業について、R2年度内は一旦、財調により歳入計上していたが、本予算案での計上方法の違いは?
——(答) 当該交付金は国が初めて制度化し どのような事業が交付金対象となるか不明な点があったため、R2年度は、まず 財調等を財源に予算計上した上で、各事業に交付金が充当可能と確認できた後に財源内訳を補正し対応していた。
R3年度は、当該交付金が国から追加で交付されるが、対象事業が明確化されてきたため 当初予算編成時から交付金を歳入計上した。◆R2年9月1日に発出した編成方針では役所内各部局に「義務的経費を除く経費の10%削減を促した」との事だったが、部局ごとの最終的な増減の状況は?
——(答) 総務部は防災行政無線デジタル化完了も含め、前年度比1.6%減。
都市整備部や上下水道部は、事業進捗にも伴い、25.4%と8.6%の減。
一方、市民生活部は コミセン大規模改造事業等で39.7%増。
消防本部は 消防緊急指令システムの部分更新で21.0%の増。
教育総務部は 小中学校体育館エアコン設置工事等で24.2%増となっている。
<<「市長の給与 及び 教育委員会 教育長の給与の厳格支給に関する条例の制定」について>>
◆ 給与減額の提案理由は「市長の『小敷谷地内フェンス・ブロック・擁壁 撤去・新設工事』における不適正な事務執行の管理・監督責任」並びに「市長 及び 教育長の『少額随意契約」における不適正な事務執行の 管理・監督責任」として「市長 及び 教育長の給料を減額したい」との事であった。
「両案件についての管理・監督責任 を一体化した議案」として提出されているが、
まず「ブロック塀」の件の管理・監督責任としての給料減額案は『R元年9月定例会』(参考:過去ブログ)『R2年3月定例会』と、議会において2度 否決となっている(※)。
市としては再々度の提出にあたり、当時と 状況が変化したと考えているのか?
また、「少額随契の問題」については、10月29日の全員協議会に於ける、市の「内部調査」報告後 本議案提出となっているが、今後 市として 更なる調査等を行う予定は あるか?
(※ 「議会が百条委員会を設置して調査中のタイミングでの給与減額案提出」や「調査後にも同内容で再提出した事」等に対し、議会からは「調査中の提出は早期幕引きを図っているようにしか思えない」「調査後も同内容での再提出は反省がみられない」旨の意見が出ていた。
少額随契の問題については、庁内ヒアリングを中心とした市の内部調査結果に対して、より詳細な調査や資料提出を求める声が議会側から出ていた)
——(答) 「ブロック塀の工事における不適正な事務執行」については、調査の上、報告書が提出され、これに端を発した少額随意契約による分割発注問題については、議会に調査結果の報告をしたところ。
このような事から、市長の管理監督責任として、今回改めて議案を上程させて頂いた。
「少額随意契約に関する調査」については、さらなる調査を行う予定はない。
全員協議会で報告させて頂いた通り、適正な契約事務執行に向けた措置を講じ、不適正な契約事務の再発防止に全力で取り組みたい。
◆「ブロック塀の案件」については、百条調査の結果として刑事告発が成されている。
検察官は「公訴を提起し、または『これを提起しない処分をした時』は、速やかにその旨を 告訴人・告発人 または 請求人に通知しなければ ならない」との定めがあるが、告発後の進ちょくについて、市側では、情報を掌握しているか?
——(答) 刑事訴訟法第260条において「検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について、公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人、告発人又は請求人に通知しなければならない」とされている。
今回の告発は、市議会においてなされたため、事務局に確認したところ、通知は届いていないとの事である。
◆今日現在「告発に対し 検察に於いて『公訴の提起・不提起』といった通知のない中」で 本議案を提出している という事で宜しいか?
——(答) 両事案について これまでに判明している職員の不適切な事務執行に伴う管理監督責任に対応するもの。
本会議の質疑では質疑回数に制限があるため、各議案は詳細審査に向けて 議員数人ずつで構成する各「委員会」に預けられます。
現在、2/27からの「予算特別委員会」にて、まずは「R3年度予算案」の審査がスタートしています。
県内各市 コロナ等による市税への影響は
質疑でも触れていますが、コロナ影響による市税収入の落ち込みが 自治体を問わず発生しており、R3年度当初予算編成には各自治体が頭を悩ませています。
県内各市町村の議員仲間との情報交換では、R3年度当初予算一般会計での市税収減見込み 前年度比(%)は 概ね以下の状況との事でした。
上尾市
個人 ▲7.7
法人 ▲26.4
固定 ▲1.4
全体 ▲5.1春日部市
個人 ▲3.8
法人 ▲26.7
固定 ▲1.9
全体 ▲3.9和光市
個人 ▲8.1
法人 ▲20.7
固定 0.4
全体 ▲4.6越谷市
個人 ▲6.6
法人 ▲27.3
固定 ▲2.2
全体 ▲5.3久喜市
個人 ▲6.5
法人 ▲25.9
固定 ▲1.0
全体 ▲5.0戸田市
個人 ▲6.2
法人 ▲21.3
固定 ▲2.4
全体 ▲4.7本庄市
個人 ▲8.1
法人 ▲25.3
固定 ▲2.5
全体 ▲5.9深谷市
個人 ▲20.2
法人 ▲56.6
固定 ▲2.4
全体 ▲11.4三郷市
個人 ▲2.1
法人 ▲30.4
固定 ▲3.0
全体 ▲2.5蓮田市
個人 ▲4.3
法人 ▲20.4
固定 ▲2.1
全体 ▲3.9羽生市
個人▲1.9
法人▲23.9
固定 2.4
全体▲3.6熊谷市
個人 ▲3.5
法人 ▲35.7
固定 ▲2.2
全体 ▲3.5飯能市
個人 ▲2.8
法人 ▲26.4
固定 0.2
全体 ▲3.3狭山市
個人 ▲6.7
法人 ▲34.1
固定 ▲2.4
全体 ▲5.3鶴ヶ島市
個人 ▲8.2
法人 ▲32.1
固定 ±0
全体 ▲3.6
プロフィール
上尾市議会議員/38歳
1983年 上尾市生まれ。明治大学政治経済学部卒。
ドラマ・映画演出部、地元で企業活動を経て上尾市議会議員。
行政改革・市民協働・地方分権を基本に、地域の潜在力発揮に向けて活動中。